はじめまして。フェローズストアの中の人です。カタログやオンラインストアでは語り尽くせなかった商品の魅力や背景を、今後はこちらのブログを通して皆様に共有していきたいと考えております。どうぞよろしくです。第1回目となる今回はジーンズついて書かせていただきます。 ご存知の通りジーンズの起源は1800年代半ばのアメリカ西海岸まで遡ります。一攫千金を夢見た各国からの移民により、当時の西海岸一帯はゴールドラッシュに沸きました。 © ullstein bild Dtl. そんなタフな現場でハードワークを続ける鉱夫に向け、かのヤコブ・ディヴィスがリベット補強を施した作業用パンツを開発製造し、一躍彼らのユニフォームへと定着させたのはあまりにも有名な逸話のひとつでしょう。とはいえ、ジーンズがファッションの文脈へと進出するのは、その半世紀以上も先のことです。 1914年に勃発した第一次世界大戦の余波を受け、1929年のいわゆる世界大恐慌がアメリカの産業にも暗い影を落としました。 © Associated Press 特に西部の主要産業のひとつでもあった酪農業や食肉産業が大不況に見舞われると、当の牧場主たちは有り余る広大な土地と多くの牛馬を引っさげアクロバティックな打開策を打ち出します。大自然に抱かれながら動物たちと触れ合えるテーマパークのような牧場経営、ご存知デュードランチ事業が台頭し始めたのです。 一方でニューヨークをはじめとする東海岸では急速な近代化が進み、高層ビル群が乱立し始めた時期でもありました。かの有名なエンパイア・ステート・ビルディングの完成も大恐慌のわずか2年後にあたる1931年のことです。 © The Metropolitan Museum of Art 発展目覚ましい都会の住人からすれば、西部のデュードランチは極めてノスタルジックに映ったことでしょう。都会の喧騒を離れ、旧き良きアメリカの伝統スタイル、つまりはカウボーイやカウガールの気分を味わえる言わばコスプレパークとしてデュードランチは国民的レジャーのひとつとなっていきました。 そんな当時の気運に便乗したのが、同じく大恐慌で膨大な在庫を抱えた多くのデニムメーカーだったのです。西海岸特有のカウボーイや彼らのライフスタイルを様々な宣伝広告で盛り上げ、ジーンズ=ウエスタンというひとつのフォーマットを商魂たくましく確立していったワケです。(第二弾以降に続く) 我々フェローズが誇るロングセラーの中でも、とりわけ長きにわたって愛されているのが、そんなデュードランチ台頭以前、ジーンズがまだ完全に労働着という認識だった1920年代頃のヴィンテージにインスパイアされた【500SW】です。 欧州製ワークパンツの流れを汲むサスペンダーボタン+シンチバックから、より合理的に進化したベルトループの登場以降、デニムパンツは急速にシェアを拡大していきましたが、【500SW】ではあえてベルトループへと完全移行を果たす過渡期に生産されたデニムパンツをイメージしています。 当時も好みが二分され、バックルを切り落とすユーザーも少なくなかったことから、取り外し可能な(カンヌキ縫製なので糸を解くことで簡単に取り外せます)シンチバックとベルトループを共存させ、移行期ならではの仕様を忠実に再現しました。 馬具に傷をつけるために撤廃されたなど諸説あるものの概ね1930年代以降に姿を消したクロッチリベット(フェローズデニムラインナップでは唯一の採用モデル)、初期ワークパンツ然としたワイドなフィッティング、当時主流にあった打ち抜きリベットなどなど、随所にワーク由来の無骨な意匠を取り入れました。 また末尾のSWは、洗いをかけた後に糊を利かせたフェローズ独自のウォッシュ加工「STARCHED WASH(スターチドウォッシュ)」を意味しています。 一度水を通したにも関わらずリジッドに近いハードな風合いを保ち、股周りや膝裏のアタリ感が鋭角に付くことでヴィンテージさながらの美しい色落ちや経年変化もまた魅力のひとつとなっているのです。 500SW Price: 21,780yenSize: 28,29,30,31,32,33,34,36 (38,40: 23,980yen)Material: Cotton100%Color: One Wash